
スマートフォンが子どもたちの生活に浸透し、便利さや娯楽を提供する一方で、その過剰な使用が子どもの学業に悪影響を及ぼしていることが指摘されています。
スマホ依存と成績低下の関係は、国内外の多くの研究によって示されています。本稿では、その関連性を具体的な研究成果に基づいて解説し、家庭で親ができる具体的なサポート方法を紹介します。
スマホ使用が学業成績に及ぼす影響
OECDの最新の国際調査(PISA 2022)によれば、平日にSNSやデジタルゲームに3時間以上費やす子どもは、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの3分野のスコアが顕著に低下することが報告されています。特に、デジタル機器の使用時間が増えるにつれて、これら3分野スコアが低下する傾向が見られました。/p>
また、日本国内の最新の全国学力調査(2024年)では、SNSや動画視聴などスマホの利用時間が長いほど、学力調査の平均正答率が低下する傾向が確認されています。具体的には、中学3年生の数学でスマホ使用が4時間以上の生徒は、30分未満の生徒と比較して平均正答率が18.5ポイント低下しています。
スマートフォンの過度な使用が学業成績に悪影響を与えることについては、近年の研究でも繰り返し報告されています。Amez & Baert(2020)によるシステマティックレビューによると、スマートフォンの使用頻度と学生の学業成績との間には負の相関があることが確認されています。多くの先行研究は、スマートフォンの使用が学習時間や注意力の低下、睡眠の質の悪化をもたらし、その結果として成績が低下することを示しています。
また、Lin & Zhou(2022)の大規模な縦断的研究でも、就寝前のスマートフォン使用が学生の学業成績に悪影響を及ぼすことが明らかにされています。具体的には、スマートフォン使用が増加するほど睡眠の質が低下し、認知機能や集中力が損なわれる可能性があると報告しています。
これらの結果から、スマホの過度な使用は子どもの学習環境において大きなリスク要因となることが明らかであり、家庭での積極的な支援や適切な管理が求められています。
家庭でできる具体的なサポート
1. 勉強中のスマホ利用の制限
勉強中にスマホを手元に置くと通知やSNSの誘惑で集中力が途切れるため、勉強中はスマホを離れた場所に保管することがおすすめです。スマホを勉強する部屋に持ち込まないルールや、勉強時間中は電源を切るなどの具体的な対策が推奨されます。自宅だとどうしてもスマホを見てしまうのであれば、図書館や自習室に行くようにするのも良いでしょう。
2. オンライン学習時の注意点
オンライン学習ではスマホを使用する機会が増えるため、学習アプリ以外の通知を一時的にオフにする設定や、保護者が定期的にオンラインでの活動内容をチェックすることが重要です。また、オンライン学習の合間には適切な休憩を設け、目や脳の疲れを軽減することも必要です。
3. 親子間でのコミュニケーションの促進
スマホ依存の予防において、親子間のオープンなコミュニケーションが重要であると指摘されています。定期的に親子で会話の時間を設け、子どもがスマホに頼ることなく感情や悩みを共有できる環境を作ることが重要です。
4. 代替活動の推奨
スマホに依存しない生活習慣を形成するためには、代替的な活動を提供することが有効です。スポーツ、趣味、読書、家族でのレジャー活動など、スマホ以外の余暇活動を積極的に取り入れることで、子どもの関心をスマホから逸らすことが可能になります。また、勉強などのストレスやプレッシャーを発散する機会にもなります。
5. 睡眠習慣の改善
スマホの夜間使用は睡眠の質を低下させることが知られており、これは学業成績の低下に直接つながります(Lin & Zhou, 2022)。家庭でのスマホ利用に関しては、就寝1時間前から使用を控えるよう指導し、寝室にはスマホを持ち込まないというルールを作ることが推奨されます。
6. 親自身が良いモデルとなる
子どもは親の行動を見て習慣を形成します。親自身がスマホ使用のルールを守り、適切な使い方を実践することで、子どもに良い模範を示すことができます。親がスマホ使用を自己管理している様子を見せることで、子どももスキルを自然と身につけやすくなります。もちろん親も人間なので完璧にコントロールする必要はありません。苦労や試行錯誤するプロセスを一緒に共有することも大切です。
まとめ
スマホ依存と成績低下の関連は科学的にも裏付けられており、家庭内での適切な支援が重要となります。勉強中のスマホ利用制限やオンライン学習時の注意点などを具体的に実施し、子どもが健全にスマホを利用できるようサポートしましょう。家庭内での具体的な取り組みが、子どもの学業成績向上や健全な成長に繋がっていくことでしょう。
⽂部科学省・国⽴教育政策研究所 (2023). OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2022/01_point_2.pdf
⽂部科学省・国⽴教育政策研究所(2024).令和6年度全国学力・学習状況調査の 質問調査の結果について
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/setsumeikai/r06setsumeikai/24eqn.pdf